九字の印を切れる様になる、効果を発揮できる様になるために先人は多大な修行を積んできました。その中でも代表的なものは滝行です。滝に打たれながら、ひたすら九字の印を切り続けることによって、その効力を強めてきたのです。九字は自身のオーラを解き放つことによってチリ・アカと呼ばれるケガレを払う技術です。滝の中で心身を統一して、流れ来る水流に対しオーラを解き放つ鍛錬によってより強い効果が発揮されるようになりました。
滝行は注意して行わなければ危険が伴うもので、最も危険なことは流れてくる石で頭を打ってしまうことです。専門家が指導されている安全な場所以外で滝行をするのは非常に危険ですので、滝行に安心のある方は安全面について十分にご確認をしていただくことが最重要です。
しかし、先人の修行者がこの様な危険を伴いながらも九字を極めてきた理由は、これらのケガレを払うことが、精神面だけではなく様々な問題解決の手段としてきたためです。日本では少なくとも江戸時代末期まではこのような術によって病、災害や災難を払う習慣や思想が広くありました。現在ではこれらは非現実的な方法である様に写りますが、実際にこれらの苦しみにはチリ・アカのケガレを伴い、これらの苦しみが完全に去った時にはチリ・アカも消え失せます。先人はチリ・アカを払うことにより、トラブルの根元すらも取り除こうと戦ってきました。また、チリ・アカについては別の投稿によりもう少し詳細を説明させていただけたらと思います。

当サイトの「九字の印」にて説明されている九字の印は、ネットで説明されている九字と若干異なる点があるかと思いますが、基本的概念は共通しています。時にこれらの技法を極めてきた人々によっては「臨兵闘者皆陣列在前」を手刀と呼ばれる印によって切る作法、もしくはそれぞれの言葉の印を組む事を九字と呼ぶ事もあります。「臨兵闘者皆陣列在前」を手刀により切る術もあり、またその作法も真言密教式と神道式での違いがありますので、今後ご紹介出来ればと思います。当サイトでは図にある様な九字印による払いを九字と呼びます。
この印自体に「臨兵闘者皆陣列在前」の全ての印が含まれているという概念から、どちらを九字と呼んでも間違っているということではないと思います。またこの手文字は正座(あぐら)の人、両腕は地、その地に対する天を表しています。